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2026/06/01

スポーツトレーナーってどんな仕事?【前編】

スポーツトレーナーってどんな仕事?【前編】

スポーツトレーナーと聞くと、皆さんはどのような仕事を思い浮かべますか?

選手にマッサージをする人。ケガをした選手をケアする人。試合中に選手が倒れたときに駆け寄る人。

そうしたイメージを持っている人も多いかもしれません。もちろん、それらはスポーツトレーナーの大切な仕事の一部です。

しかし、実際のスポーツ現場で求められる役割は、それだけではありません。

選手のコンディション管理、ケガの予防、リハビリ、テーピング、練習や試合への帯同、監督・コーチへの報告、チーム内での情報共有、さらには荷物の準備やドリンクの用意まで、現場では非常に幅広い仕事があります。

今回は、プロ野球、サッカー、陸上長距離の現場に関わってきたトレーナーの話をもとに、スポーツトレーナーの仕事内容や、現場で求められる力について紹介します。

スポーツトレーナーは「選手を支える仕事」

スポーツトレーナーの仕事を一言で表すなら、選手を支える仕事です。

ただし、「支える」といっても、その内容はとても広いです。

体のケアをすることもあれば、トレーニングをサポートすることもあります。ケガをした選手のケアやリハビリに関わることもあれば、ケガをしないための予防に取り組むこともあります。

スポーツトレーナーの主な役割

  • ケガの予防
  • ケガをした選手への対応
  • 施術・ケア
  • リハビリ
  • コンディション管理
  • 練習や試合への復帰判断のサポート
  • コーチや監督への報告
  • 選手の状態の記録・共有

プロ野球の現場では、トレーナーだけでなく、ストレングス&コンディショニング担当、リハビリ担当の理学療法士など、複数の専門スタッフが連携して選手を支えています。

たとえば、メディカルトレーナーは主に選手の体を触り、施術やケアを担当します。一方で、ストレングス担当はトレーニングや体づくりを担当します。リハビリ担当は、ケガをした選手が競技に戻るまでの段階をサポートします。

つまり、スポーツトレーナーは一人で何でも行う仕事ではなく、チームの一員として選手を支える仕事なのです。

競技によってトレーナーの仕事は変わる

スポーツトレーナーの仕事は、競技によって大きく変わります。

たとえば、野球、サッカー、陸上長距離では、選手の動きも、ケガの種類も、チームの運営方法も違います。そのため、トレーナーに求められる動き方も変わってきます。

野球の場合

野球の現場では、肩や肘、下半身のコンディション管理が重要になります。

投手であれば、キャッチボールの距離、ブルペンでの球数、登板後の回復状態などを確認します。肩や肘に不安がある選手には、練習量を調整したり、コーチに状態を報告したりすることもあります。

試合中は、デッドボールや走塁中のアクシデントなどに備えて、トレーナーがベンチに入ることもあります。

また、試合前後のケアだけでなく、日々の報告書の確認、選手の状態記録、コーチ会議への報告なども大切な仕事です。

サッカーの場合

サッカーでは、練習前のテーピングが多いという特徴があります。

足首などにテーピングを巻く選手が多く、練習前に何本も対応することがあります。また、疲労回復のためのマッサージ、ケガへの対応、ウォーミングアップやウェイトトレーニングのサポートなども行います。

試合当日は、試合前にすべての準備を整えておくことが重要です。テーピングの道具を並べる、水やドリンクを用意する、ユニフォームや備品の準備を手伝うなど、選手がスムーズに試合に入れる環境を整えます。

サッカーでは、試合後すぐに長時間のマッサージをするというより、翌日のリカバリーで対応することもあります。このあたりも、競技によってトレーナーの動き方が違う部分です。

陸上長距離の場合

陸上長距離では、チームスポーツとは違い、個人種目ならではの関わり方があります。

合宿では、朝から夜まで選手が順番にマッサージや施術の枠を予約し、トレーナーは宿舎でひたすらケアを行うこともあります。

練習中にずっと付き添うというより、練習後の疲労回復やコンディション調整が中心になるケースもあります。

ポイント

同じスポーツトレーナーでも、競技によって仕事内容は大きく異なります。競技特性を理解することが、現場で信頼されるための第一歩です。

現場では「体を触る仕事」以外も多い

スポーツトレーナーというと、選手の体をケアする仕事というイメージが強いかもしれません。

しかし、現場ではそれ以外の仕事もたくさんあります。

体を触る仕事以外の業務例

  • トレーナー室の準備や片付け
  • テーピングやアイシング用品の準備
  • ドリンクの準備
  • 物品管理
  • 報告書の作成
  • メールやシステムでの情報確認
  • コーチや監督への報告
  • 練習の補助
  • 遠征時の準備や手続き
  • 用具やユニフォーム準備の手伝い

スタッフが少ないチームでは、トレーナーが練習の補助に入ったり、ラインズマンをしたり、ボールを蹴ったり投げたりする場面もあります。

もちろん、本来の業務とのバランスや責任の範囲には注意が必要です。しかし、現場では「これはトレーナーの仕事ではない」と線を引きすぎるより、チームのために必要なことを柔軟に行う力も求められます。

スポーツトレーナーは、華やかに見える仕事かもしれません。しかし実際には、地道な準備や裏方の仕事の積み重ねがとても多い仕事です。

大切な役割は「ケガ対応」よりも「ケガ予防」

スポーツトレーナーの仕事は、ケガをした選手に対応することだけではありません。

むしろ、ケガを起こさないための予防も非常に大切です。

たとえば、過去に肩や肘を痛めた選手であれば、どのような場面で痛みが出やすいのかを把握しておきます。投手であれば、球数やイニング数の管理も予防につながります。

また、足をケガしやすい選手には、インソールやエクササイズを提案することもあります。グラウンドやフェンスなど、環境面を確認することも予防の一つです。

「この場所に飛び込むと危ない」
「この選手はこの動きで痛みが出やすい」
「今日は少し動きが重い」
「いつもより表情が暗い」

そうした小さな変化に気づくことが、ケガの予防につながります。

スポーツトレーナーには、治療技術だけでなく、日々選手を観察する力も必要です。

選手との信頼関係が何より大切

トレーナーの仕事では、知識や技術が必要です。しかし、それだけでは十分ではありません。

現場で特に大切なのが、選手との信頼関係です。

選手にとって、体は仕事道具です。その大切な体を任せる相手だからこそ、トレーナーには信頼が求められます。

たとえば、症状を説明するときに「絶対に良くなる」と軽く言ってしまうと、後で信頼を失うことがあります。体のことに絶対はありません。だからこそ、感情だけで話すのではなく、状態やリスクを冷静に伝えることが大切です。

また、選手はロッカーでは言えないことを、トレーナー室で話すこともあります。治療中に本音や不安をこぼすこともあります。

その話をきちんと聞き、必要以上に外へ漏らさないこと。安心して話せる存在であること。それも、トレーナーに求められる大事な役割です。

平等に見る姿勢も信頼につながる

プロの世界では、1軍の主力選手、これから上を目指す若手選手、リハビリ中の選手など、さまざまな立場の選手がいます。

チームの状況によって優先順位が変わることはあります。しかし、選手によって対応の差があまりにも露骨だと、信頼を失うことにつながります。

「この先生はちゃんと見てくれる」
「自分のことも気にかけてくれている」

そう感じてもらえることが、信頼関係につながります。

選手は、意外とよく見ています。トレーナーがいい加減に対応しているかどうかも、伝わってしまいます。

だからこそ、どの選手に対しても誠実に向き合う姿勢が大切です。

やりがいは、選手の復帰や活躍を支えられること

スポーツトレーナーは、表舞台に立つ仕事ではありません。

主役は選手であり、チームです。トレーナーはあくまでも裏方として、選手やチームを支えます。

それでも、大きなやりがいがあります。

スポーツトレーナーがやりがいを感じる場面

  • 自分がケアした選手が試合で活躍する
  • リハビリをしていた選手が復帰する
  • ケガなくシーズンを終える
  • チームが勝つ
  • 優勝に近づく

選手から「治療してもらったおかげで動けました」「復帰できました」「ありがとうございました」と言われる一言が、何よりの励みになることもあります。

スポーツトレーナーの仕事は、決して楽な仕事ではありません。拘束時間が長いこともありますし、地味な仕事も多いです。

それでも、選手の人生や競技生活に深く関われることは、この仕事ならではの魅力です。

一方で、難しさもある

スポーツトレーナーは、あくまでも裏方の仕事です。主役は選手であり、チームです。

自分が前に出過ぎてもいけません。かといって、控えめになりすぎて必要なことを伝えないのもよくありません。

自分の職域を理解し、チームの中でどう動くか。ここに難しさがあります。

また、関わる人が多いのも特徴です。

選手、コーチ、監督、球団スタッフ、チームドクター、リハビリ担当、ストレングス担当、場合によっては選手個人のパーソナルトレーナーとも関わります。

その中で、報告・連絡・相談をしながら、チームとして選手を支えていく必要があります。

特に難しいのは、選手が「出たい」と言っているときの判断

本人は大丈夫だと言っている。トレーナーとしても、これならいけるかもしれないと思う。しかし、実際に試合に出たら痛みが出てしまうこともあります。

逆に、慎重になりすぎると選手のチャンスを奪ってしまうかもしれません。

この判断には、知識、経験、観察力、そして選手との信頼関係が必要です。

まとめ

スポーツトレーナーは、単にケガをした選手を治療する仕事ではありません。

コンディション管理やケガの予防、リハビリのサポート、監督やコーチとの情報共有など、さまざまな役割を担いながら選手とチームを支えています。

また、競技によって求められる仕事内容は異なり、現場では施術やケアだけでなく、準備や片付け、物品管理などの裏方の仕事も数多くあります。
その中で大切なのは、知識や技術だけではありません。選手の変化に気づく観察力や、信頼関係を築く力、チームの一員として行動する姿勢も求められます。

華やかなスポーツの世界を支える裏側には、多くの地道な努力があります。
しかし、自分が支えた選手が活躍したり、ケガから復帰したりする姿を見られることは、この仕事ならではの大きなやりがいです。

では、実際にスポーツトレーナーとして活躍するためには、どのような力や経験が必要なのでしょうか。
後編では、スポーツトレーナーに向いている人の特徴や、学生のうちに身につけておきたいことについて紹介します。

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共同監修

※ 五十音順に掲載しています。

小滝康樹

小滝 康樹

Yasuki Kotaki

トレーナー歴 23年
鍼灸師・柔道整復師

2002年〜2024年 阪神タイガース トレーナー

2002年にトレーナーとして阪神に入団。阪神で23年間トレーナーを務め、2024年に退団。在籍期間中は3度のリーグ優勝と1度の日本一を経験。


野間卓也

野間 卓也

Takuya Noma

トレーナー歴 42年
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・日本スポーツ協会アスレティックトレーナー

1982年〜2024年 オリックス・バファローズ トレーナー

42年間にわたり、阪急ブレーブスからオリックス・バファローズまで、トレーナーとしてチームを支える。在籍期間中は6度のリーグ優勝と2度の日本一を経験。数々の名選手のケアを行ってきた。


弓岡尚幸

弓岡 尚幸

Naoyuki Yumioka

トレーナー歴 30年
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・日本スポーツ協会アスレティックトレーナー

2005年〜2007年 広島東洋カープ トレーナー

2008年〜2014年 阪神タイガース トレーナー

※ノバセルでは、さまざまな分野で活躍する先生方の経験をもとに、参考になる情報を発信しています。

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